近畿大学卒業生のみなさま、本日はご卒業おめでとうございます。

近畿大学(卒業式)のゲストスピーカーは恒例になってますから、みなさん「誰が来るんだろう……」といろいろ期待されてたと思うんですけど……。

又吉かー!」みたいな方もいてるとは思いますけど(笑)。

人生はなかなか思い通りにいかないというか、予想してなかったことが起こるんだぞということを今日はお伝えしたいなと思いまして。

みなさんにですね、どういう話をしようかな……と、いろいろ考えて来たんですけど、社会に出た時の処世術であったりだとか、友達の作り方……みたいな話は、多分僕よりみなさんの方が詳しいと思うので、僕は、自分が社会に出てから、日々の生活の中で実感として感じたことをお伝えできたらなと思っております。

(略)

僕はピースというコンビを結成しまして、そこから特に大きな変化もなく、たまにライブに出たり……という生活を続けていく中で、僕なりに真剣に考えて世に出るために工夫したんです。芸人として何か面白いことができないかなと。

そういう時に、あまりにも人気がなかったので、一回「芸名を変えよう」と思ったことがありまして。

ちょっとでも人が集まるように『又吉万国博覧会』っていう名前に変えようと思ったんですよ。「万博やったらさすがに人が来るやろ」と思いまして。

そうなると駐車場が必要なので、相方に『綾部モータープール』に改名してくれっていう風にお願いして……。もちろん却下されたんですけど(笑)。

周りから見たら迷走やったかもしれないんですけど、そうやって、いろいろもがいてた日々の中で、すごく尊敬する人と出会えたりして。自分が表現する場を与えてもらって。

そこで少しずつですけど、この芸人という世界でやっていく自信を持つことができたり、繋がっていったんですね。

だから、排水口を見つめ続ける時間とか、そういう時もあるんですけど、僕はこういう風に考えるようにしてるんですよ。

嫌なこととかしんどい夜が続く時は、「これは次にいいことがあるための“フリ”だ」と。

水も、喉が渇いてる時の方がおいしいじゃないですか。「いつでも水が飲める状況よりも、飲めない時に飲んだ水がおいしい」みたいなのと一緒で、しんどいことがあったら、その後、必ず何かどっかで楽しさが倍増するような。面白いこと、楽しいことがあるんだっていう風に信じるようにしてるんです。

みなさんもぜひ、そういう大変な時があったら、その後に来る“うまみ”の部分も取りこぼさないようにしてもらいたいなという風に思います。

こういうお祝いの席でふさわしいかわかんないですけど、僕、自分で書いてる文章の中で「バッドエンドはない、僕たちは途中だ」っていうことを書いたんですけど、それはわりと僕の実感に近いというか。

いろんなことがあるけど、それはまだ途中だから」っていう……。
今もそのつもりでいます。

みなさんも、これからいろんなことに挑戦されて、いろんな夜を過ごすと思いますけど、どうかその先に“続き”があるということを忘れずにいただけたらと思います。

みなさんの、これからの活躍をお祈りしております。本日はおめでとうございます。







取り敢えずこの辺で。
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